生産者インタビュー

伊勢茶

松倉大輔氏

松倉 大輔 氏有限会社 深緑茶房 代表

三重県は静岡県、鹿児島県に次いで
茶葉生産量第3位のお茶処です。
多くの茶農園がある中で、松倉大輔さんは
数件の農家の茶畑を農家個人ではなく会社で所有し、
加工・販売まで一貫する形態で茶農園を運営。
また日本茶カフェ「深緑茶房」を構えるなど、
様々なかたちで三重県特産「伊勢茶」の魅力を
伝えています。

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農家をまとめた会社を立ち上げた理由は?
お茶はタケノコに似た性質で、若い頃はおいしいけど、育ちすぎるとアクが強くなります。また摘んでから間もない新鮮なものほどおいしいという特性もあります。加工する段階でこれらの条件を統一するのが大切で、もし質の違う茶葉が混じっていると、悪い方に味が引っ張られてしまいます。20年ほど前は、1つの加工場に各茶農家が茶葉を持ち寄り、一緒に加工するというのが全国のスタンダードでした。でもその方式だと、茶葉の品質の違いから味を落とすリスクがある。私たちが会社を起こしたのはちょうどその問題が表面化してきた頃です。茶葉の質を統一するため会社化するという形態は、恐らく全国で初めての取り組みだったと思います。
お茶を生産するうえでのこだわりは?
茶葉を摘むタイミングはとてもデリケート。しかし複数の目で見ると基準が曖昧になり、品質に誤差が出てくる恐れがあります。そのため当社では一人のスペシャリストが茶畑を担当し、同様に加工場にも専従の人員を配することで、高い水準で品質を管理しています。
松阪地域は昔から「深蒸し煎茶」が主流です。誰がどんな水で淹れてもおいしく飲めるお茶で、ここ最近はかなり需要が高まっています。ただしここ飯南地区の茶葉は、日照時間と土質の関係で普通の茶葉より葉肉が分厚く渋いという特徴があるため、一般的な深蒸し煎茶よりもさらに深く、粉に近くなるぐらいの特蒸しにしています。
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おすすめの飲み方はありますか?
茶葉は低い温度のお湯を注ぐと甘みが抽出され、高い温度だと渋み成分が溶け出すという性質があります。甘みが強い玉露だと40度ぐらいで淹れますが、一般的な茶葉の基準はだいたい80度ぐらい。一煎目は80度未満のお湯で渋みを閉じ込めたまま甘みだけを感じ、二煎目は80度以上の熱いお湯で渋みを出す。こうした味の変化を楽しむのも、お茶を堪能する方法の1つです。
三重県にお住まいのみなさんにメッセージをお願いします
当社では地域の学校からの工場見学、お茶摘み体験、職業体験などの依頼をすべて受け入れています。それは地域の産業や生産者と触れ合い、体験することで、地元への想いをより深くしてもらいたいから。地方には仕事が少ないため、外に出ていく人が多いと思います。そういった人々がお茶を飲んで一息ついたときに、都会にいながら地元を思い出し、自分が生まれ育った場所に想いを馳せる。そしてできれば地元の魅力を再発見してほしい。そのきっかけが、私たちがつくったお茶から生まれればと願っています。
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